980人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやほんと、お忙しいなら結構なんですけど……できれば、是非……」
結婚式に出席してほしいという、市田の話にとても驚いたが、報告をする市田の表情を見てとても幸せな気分になる。真琴もすごく嬉しそうだ。
「もちろん、出席するよ。よかったな、蓉」
「はい……ありがとうございます」
そうはいうものの、市田の表情は完全に晴れ晴れとはしていない。市田の性格からすると、葛藤がまだ残っているのかもしれない。
そんな様子を真琴が問いただすと、市田と佐々木は結婚式をするだけではなく、養子縁組をすることになったのだと告白した。
「お前らにとってそれは、とてもいいことだと思うよ」
「そうでしょうか……」
「どうせ佐々木が強引に決めたことなんだろ。お前は遠慮せずに喜んでいればいいんだよ」
「……俺はひとりだからいいですけど、所長はそれでいいのかなって。成人したとはいえ、娘さんもいますし」
真琴は市田の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「お前はそれが嫌なのか? だったら佐々木にそう伝えてやるけど」
「いえ……提案してくれた時は、とてもうれしかったです」
「だったらいいじゃねーか。佐々木を信じてやれよ」
「はい……」
最初のコメントを投稿しよう!