2.キョウジの第2の目覚め

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2.キョウジの第2の目覚め

 キョウジは目覚めた。  いつも寝起きはいい方だ。  いつも通りの場所、なにも変わらない。  少しまぶしいくらいの陽射しだが、心地いい目覚めだ。  みんなも起きているけれども、ベッドの上でごろごろして、  夢うつつを楽しんでいる。  キョウジよりも先に、ベッドを降りている子は誰もいない。  いつもキョウジが一番だ。  今ここには、キョウジを含めて8人いる。  アリサ  シンジ  コウタロウ  ユリア  アリス  ユリエ  ユキヒロ  男女4人ずつの8人だ。  みんなはキョウジと一緒で、  ふたつの世界を持っている仲間なのだ。  そして、ここにはふたつの世界を持っていない人間は誰もいない。  キョウジたち8人が眠りに着くと、この世界も眠りにつくようだ。  キョウジは一度だけ変な夢を見た。  ヌエモリゴンベエという、おじいさんのような人が、  なにやら言っていた記憶がある。  キョウジはその夢の内容を信じている。  キョウジがみんなに話したら、みんなも同じ夢を見たと言った。  だがキョウジは深くは考えなかった。  そういうもんなんだ、と納得したようだ。  今、キョウジたちがいる部屋は休憩室と呼んでいる。  その理由は部屋の入り口に、学校の教室にあるような、部屋の名前を書いてあるプレートがあるからだ。  そして、廊下などで寝てしまったとしても、必ずベッドの上で眼が覚める。  キョウジたちが夜を過ごすのは、ほんの一握りの時間、いや、一瞬だ。  こっちの世界も目覚めると朝、あっちの世界も目覚めると朝なのだ。  朝起きて、疲れたとか起きられないとか体調が悪いことはほとんどなかった。  この部屋にはベッドのほかに勉強机が置いてある。  今は8人分だ。  ちなみにベッドも8台ある。  キョウジがこの世界に始めて来た時、ここにいたのはアリサだけだった。
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