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さえぎる木々を避けながら走っていた。まさか近くの甘味処に行くだけでこんなことになるなんて予想してなかった。
ただひたすらに走りながら折られた大刀に後悔が押しよせる。
このまま捕まったら死ぬ──情けないことに冷や汗とも脂汗ともとれるものが全身から噴きだしていた。
さすがに町並を逃げるわけにはいかないと、近くの山に逃げたことで運が尽きてしまったのかもしれない。
いつの間にか草履も脱げ、全身草や木ですったのか切り傷だらけ。しかしそんなことよりも先ほどみた男のいやな笑みが頭から離れない。
死ぬということはこれほど恐ろしいものなのか──体力も気力ももう限界だ。
木の幹に右手をついて荒い息をくりかえす。喉からはひゅー、ひゅーとおかしな音がもれていた。
一瞬、がさりと背後から物音が聴こえた。恐怖に染まった顔を上げて辺りを見渡すと、ちょうど人ひとりが入れそうな洞窟をみつけた。
力を振り絞ってそこへ駆けていく。あそこがみつからなければまだ死なないかもしれない……。淡い期待だとわかってはいたが、ないよりましだ。
寸前でぬかるみに足をとられて滑り込んでしまったけれど、そのまま這って奥へと進む。
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