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比較的大柄なわたしでは辛いと感じるほどの狭さ。追いかけてきているはずの連中はわたしに比べれば小柄だった。
あまりの焦りに身体がうまく動かない。息苦しくなってきたそのとき、ようやく目の前が開けた。
そこは思った以上に広い洞窟で、そこだけは充分に空気もある気がする。上をみると小さな穴がいくつも空いているらしい。陽の光がかすかに射し込んでいる。
思いきり息が吸えることに安堵し、大きく深呼吸をした。
しばらくはここに隠れていよう。追手ともすぐ応戦できるよう柄に手をかけ中心部に腰かけ、着物でほほについた泥をぬぐったそのとき。
「……がはっ」
唐突に込み上げてきた不快感に咳をすると、口から鮮血が飛び散る。
胸のあたりに異物が入った感覚がして目線を下げると、骨と骨の間──心の臓の少し下あたりに鈍色に光る刀が生えていた。
抜かれた衝撃で体制を崩し左側に倒れる。いつの間にか目の前には、どこから集まってきたのかいくつかの足がみえた。
ゆるゆると目線を持ち上げる。肺がやられたのか、うまく息ができない。
浪人風の男を何人も従えた身なりのよい男が白刃を振り上げていた。それが、わたしが最期にみた光景だった──。
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