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「あれ、香乃と雨宮君って知り合いだったの?」
「いやいや、中学から同じでしょ、千明だって同じクラスじゃん」
「そだっけ?」
親友は首を傾げて考え込むような仕種をする。実のところ、彼とは小学校も同じ 、幼稚園も同じ、というよりも近所でいわば幼馴染みという関係だ。さっきは無視されたような感じだったが昔はとても温厚で優しい人だった。(それでも笑ったところをあまり見たことないが)小学校低学年までは雨宮のお姉さんも含め3人でよ く遊んだし、恥ずかしながら一緒にお風呂に入ったこともある。何より頼りがいが あって、引きこもり思案な私を何度も助けてくれた。
さらに話を最初に戻すと、私が恋しているのはまさにこの幼馴染みだったりする 。それも初恋で、しかも小学校からずっと引きずってきている恋だ。現在に至って は幼少期の私の勇姿はどこへやら、さっきみたいに恥ずかしいやら気まずいやらで 話しかけることですらままならない。
「ねぇ、香乃」
「………」
「おーい」
「…えっ、何?」
つい考え事に没頭してしまい、ぼんやりしていた私を千明が頭に「?」マークを 浮かべながら見つめている。でもまぁ、さすがに千明の頭じゃあ、私が誰について 考えていたかなんて気づかないだろう。
「もしかして香乃ってさ、雨宮が好きなの?」
「へっ!?」
そこまで感づかれた!?
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