第1章

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「磯部、サクラの奴ぁ回復したらしいじゃねぇか?」 天国門通行許可手続きセンター。通称『天国センター』の廊下を2人の男が歩いていた。 磯部と呼ばれた男はタキシードに身を包み、白髪混じりの髪と髭をたくわえた柔和な笑顔の印象的な、見るからに執事といった感じの初老の男である。 「さようでございます柏様。驚異的な回復力で、おそらくは今日もどこぞを走り回っておいででしょう」 磯部は前を歩く巨漢の男にニッコリ微笑んだ。 柏は、黒い袈裟を着た天を突くような大男で、体に合った長い柄のついたコレまた巨大な大鎌をてんびんのように肩に担いでいる。 「奴は強くなるぜ、あの福田が鎌を託したくらいの奴だ。いや、むしろ強くなってくれなきゃ意味がねぇ…」 柏は2人の顔を思い浮かべてニヤリと笑った。
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