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盗み読みをしているような罪悪感と黄色い菊のような凛とした幸せが、僕の目ををこの本に縛りつけている。
「なにやってるんだよ?早く帰ろうよ。」
親友には目すら向けずに僕は本を読み続けながら、
「僕の机の上に本が置いてあったんだ。読んでみたら意外と面白くてさ、読むと幸せになれるらしいよ。」
「ああ、天使の明晰か!有名だよ。で、お前は天使にどんな幸せを願うの?」
この本のことを知っていた親友に驚いたが、僕は彼に返答する。
「知っているだろう?僕の願い事は、ゆうと恋人同士になりたい。ずっと片想いしているからな。」
「本当に長いよな?でも、もう大丈夫みたいだ。こっちをみてみろよ、天使が現れたぞ。」
親友の言葉に引き寄せられるかのように、僕は本から目を離し親友の方を向くと、
隣には顔を真っ赤に染めた天使(ゆう)が立っていた。動揺してガタンと立ち上がった僕は本を机から落としてしまった。
本の中からはらりと一枚の写真が床へ落ちた。
その写真には僕とゆうが一緒に写っていて2人はピンクのハートで結ばれてる。
「大好き」と書かれたメッセージが添えられていた。
ゆうの願い事が今、天使によって叶えられたのだ。
金木犀が香るこの教室の中で
秋に咲いた恋の天使の物語。
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