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……なにも……聞こえない…… えぇと、とりあえず、確認したいんだけど、 「七瀬君、22歳って、言った?」 「それから……って、え?まだそこっすか!?正真正銘22です!あ、なんなら学生証見せましょうか?」 「い、いや、大丈夫、」 私の見る目っておかしいの!? こめかみを押さえる私に、七瀬君は困ったような笑みを漏らした。 「俺、だいぶ童顔だっていわれるんで……」 「うん、ごめんね。本当に高校生だと思ってたから、」 「俺の事、恋愛対象にならないっすか?」 なるかならないか。 じっと目の前の彼を見上げた答えは、 「なる……かも?」 疑問形だけど、“ありえない”とは思わなかったから。 首をかしげながら言った私に、 「まじで!?やった!!」 「うわっ、ちょっと!」 「あ、すみません!」 思わずと言った感じでがばっと抱きついた七瀬君は、慌てて体を離して。 でも、その手は私の両肩を掴んだまま、腰をかがめて覗き込む。 「とりあえず、俺と付き合ってみませんか?」 「とりあえずって、」 「俺、岬さんの事、好きなんです!」 真っ直ぐな視線に私の心臓は大きな音を立てて飛び跳ねて。 気がつけば、コクリと首を縦に振っていた。 「はぁー、俺、今嬉しすぎてどうにかなりそう……」 「それはまた大げさね」 「手、つないでもいいっすか?」 「えっ!?って、返事する前から、」 「へへっ」 ぎゅっと握られた手は大きくて温かくて、でも力加減がされているのがわかる。 「いつから俺が岬さんの事好きなのか、もう一度話しましょうか?さっき聞いてなかったよね?」 「いや、それはいいや」 「あ、信用してくれてる!」 「ん、信じてみるから。その代わり、」 「ん?」 「七瀬君の事、いろいろ教えてね」 「もちろん!!その前に、伊織って呼んでよ、岬さん!」
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