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教室の戸を開けたら、そこには私がいた。
......いや、正確に言えば、中学生の私がいた。
現実である24歳の私は教室の隅に立ち、中学生の私が窓際の席に座って落ち着きなく窓の外を見ているのを眺めている。
これは、夢の中......なのだろう、きっと。
だって、中学生の私は現在の私など見えていないようだ。
夢の中にもかかわらず、壁や床を伝って流れてくる冷んやりとした空気が肺まで凍らせるように冷たく感じ、手足が悴(かじか)んで硬くなっていた。
人気のない教室の、独特な懐かしい匂いが鼻を擽る。
なぜ今頃、こんな夢を見ているのだろう......
もう10年も昔の、遠くなってしまった過去の記憶。
---忘れたい、苦い思い出......
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