第4章 タートル・トーク♪

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「お次はどこに参りましょうか?お嬢様?」 「もぉ!だから言ったでしょ?狼歩さんの好きな所行こうって!」 ほっぺを膨らませたら、ポフンと空気が抜けた。 狼歩さんの両手で、私のほっぺたを包んだから。 真っ赤になりながら……。 「もお~!」 とまた膨らまそうと力を入れても、膨らまない。 「この位で赤くなるなんて蒼井さんはウブ(たまに狼歩さんは古い言い回しをする。)ですね~。」 意地悪く狼歩さんは微笑んだ。 思ったよりゴツゴツした男の人って感じの骨ばった手。 少しだけひんやりしている。 手の冷たい人は心が温かいんだっけ……。 院長の手は、まるでグローブみたいに大きくて、あったかかったなぁ。 蒼井の顔も頭もすっぽり包み込んで、蒼井と同じハンドクリームの香りがしたっけ。 蒼井の気持ちわかってて、蒼井の施術時間に小刻みに席を外して、あっちこっち行って、 「お待たせ致しました。」 って何もかもお見通しの顔で必ず、 「あはは。」 って笑う。 たった10分の施術時間のはずなのに、私は一時間以上ベッドの上。 みんな帰ってくのに。 あれはどんな意味だったんだろう? 他の患者様の施術はバスタオル越しなのに、なんで私は素手なの? 結局、施術の間話すこともなく……。 あなたは私と同じ香りで私を癒やしながらも突き放していた。 今思うと院長の手の平で私は踊ってただけなのかな……。 「蒼井さん?蒼井さん?」 「蒼井さん!!!」 ビクッ!!! 「あっ!狼歩さん!」 ぼんやりした白もやの様な視界が、一瞬にしてクリアになり、やっと目の前の狼歩さんと視線が合った。 image=495167290.jpg
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