10人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
「あはははは。」
『タートル・トーク』を出ると、声をあげて狼歩さんは笑い出した。
「……。」
私が黙っていたら。
「あ、あの……。蒼井さん?怒っちゃいましたか?」
ちょっとオドオドしだした狼歩さん。
それを見ていたら、なんかおかしくなってきて。
「プッ。」
少し吹き出してしまった。
「えっ?えっ?笑うとこ?」
とちょっと慌ててる狼歩さん。
そうなのよね。
狼歩さんって、優し過ぎてSになりきれないのよね。
エブリスタの中でも、いつも少し控えめで、相手の気持ちを思いやってるもん。
ねぇ?
狼歩さん。
そんな狼歩さんを、とってもとっても大好きな人沢山沢山居るんだよ。
もっともっと自信持っていいんだよ。
ねぇ?
夢の世界から戻ったら、リアルではこの子だと思う子が現れたら絶対絶対手放しちゃダメだよ?
いつも優しい人で終わっちゃだめだよ。
今日のデートはお互いにリアルに戻る前の訓練の卒業式かもしれない。
狼歩さんも幸せになれる様に……。
そして私も……。
私の心の声は聞こえてないから、まだ不安そうな顔してる。
そう私も変わらなきゃ!
「ありがとう!狼歩さん♪大好き!」
本当はね。
めちゃくちゃ照れたんだけど、声に出した。
ただ、照れくさくてまた私は走り出した。
「あっ!また蒼井さ~ん!転ばないで下さいよぉ~!」
と狼歩さんも少しだけ声を上擦らせて、追い掛けて来た。
ほんのちょっと変われた。
そんな気がした。
(狼歩さん。ありがとう。)
最初のコメントを投稿しよう!