第2章 ビビディバビディブー♪

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しばらくすると、ディズニーリゾートが見えてきた。 「僕、ディズニーシー初めてなんですよ。」 ディズニーシーの駐車場に車を停めながら狼歩さんは言った。 (ええ。知ってるわ。忘れないでもらいたくて最後のデートはディズニーシーにしたかったの。) 「……。じゃあ、今日は狼歩さんの好きな乗り物乗ろうね。」 「それじゃあ、蒼井さんの夢の締めくくりにならないでしょ?全く蒼井さんは……。」 「ストップ!」 私は、狼歩さんの言葉を遮って、人差し指を狼歩さんの口すれすれに近付けた。 「これが最後だからこそ狼歩さんに楽しんでもらいたいの!私がしたかったデートでいいんでしょ?じゃあ、私は狼歩さんが笑ってくれて楽しんでくれて私といて幸せだって思ってくれる事が嬉しいんだもん!」 ふわぁ。 「全く、あなたって人は……。」 狼歩さんは、抱きしめると言うより、ふわっと包み込んで私を抱き寄せた。 もう既に私の目からは今日の終わりを見据えながら目に涙が溢れてきた。 「ごめんなさい。帰るまでに狼歩さんのお洋服ビショビショにしちゃうから……。」 と、両手でそっと狼歩さんを押して離れた。 (夢だから。これは全て夢だから。) と心に何度も呪文の様に繰り返し、 「さぁ!行くよ~~~♪」 と思いっきり走り出した。 「ちょ!!!ちょっと蒼井さん!!!」 狼歩さんは慌てて追いかけてくる。 「さぁ!どれから乗る?」 これから先の事は考えない! 今を大切に。 今を楽しまなくちゃ! スカートの裾をふわっとさせながら、くるんと振り返って、満面の笑みで尋ねた。 image=495163834.jpg
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