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「もう泣き止んだ??」
「……優斗君」
俺の後ろから聞こえた声にゆっくりと振り向くと、そこには優斗君の姿。
「ああ、もう大丈夫だ、優斗君……いや、あの頃の俺」
その言葉に目の前の少年はニコリと笑った。
20年前の俺の姿で。
「俺も大好きだったよ、三浦先生。お前のときからずっと憧れだった……。お前はまだ担任としての三浦先生がいるんだよな……。なら、今のお前の時間を大切にしてくれ……。もう会うことが叶わない俺の分まで」
「わかった。じゃあ未来の俺は三浦先生の言葉を忘れないで優しい先生としてここで頑張って」
「ああ、わかった」
大きく頷いた俺に、幼い俺はもう一度ニコリと微笑む。
そして俺が瞼を閉じ、息を吐き、再びゆっくりと瞼を開いたときには、そこにはもう、夕日の差し込む教室の風景しかなかった。
「頑張るよ……。幼い自分に“優しい”と認めてもらえたんだ……。ちゃんとお前との約束守るから……。ちゃんと、優しい先生として、ここで頑張るから……」
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