もう叶わないけど……

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「そういえば、さっき優斗お兄さん何か俺に言おうとしてたよね??」 黒板を見つめていた優斗君は突然思い出したようにそう言って、再び俺へと視線を戻した。 「ああ、大したことじゃないんだけどいいかな??」 「いいよ!」 何でもどうぞ、と胸を張る優斗君に笑い声が溢れそうになるのを堪え、俺は口を開いた。 「優斗君は学校楽しい??」 「楽しいよ!」 「どんなことが一番楽しい??」 「んーとね、毎日楽しいから決められない」 嘘偽りの無い笑顔に、俺の心は温かくなる。 「そっか……。それじゃあ、優斗君は、さ……担任の先生……好き??」 チョークを元の場所へ転がして軽く手に付いた粉を払う。 それと同時にゆっくり優斗君から目線を逸らしつつ、俺は途切れ途切れになる言葉を繋いだ。 「大好きだよ!」 「っ!!」 元気なその声にハッとなり、再び優斗君の方へ目線を向ける。 「俺、三浦先生のこと大好きだよ!」 そこには今日一番の笑顔と、さっきよりもっと元気な声でそう言った優斗君の姿が。
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