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「最後にもう一つだけ、聞いてもいいか??」
「うん!いいよ!」
大きく頷いたのを確認してから、俺はゆっくり息を吐き、そして口を開いた。
「俺は、優しい人だと思う??」
出会ったばかりのヤツにこんなこと聞かれても困るだろうに。
そうわかっているのに、俺はどうしても聞かずにはいられなかった。
「うん、優斗お兄さん優しいよ。俺と同じ“優”だしね!」
「っ!!……ははっ……そうか……ありがとう……」
瞼を閉じ、感謝の言葉を述べてからゆっくりと瞼を開く。
するとすでにそこには優斗君の姿は無かった。
「“優斗の優は優しいって字だから、お前は誰にでも優しい、いい子になるんだ”……」
昔、ここで学んでいた頃、担任の先生に言われた言葉。
見た目はちょっと怖いけど、本当はすっごく優しい男の先生。
俺はあの人に自分の名前を褒められてから、ずっとあの人のようになりたいと、背中を追ってきた。
教師になったのも、憧れてたあの人と一緒の場所で、同じ土俵でいたかったから。
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