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「先生……ようやく貴方と同じ場所で先生をやれるのにっ……俺の夢は叶ったのにっ……」
熱を持っていたはずの教卓はだんだんと冷たくなっていく。
もう何日も使われていないように。
「貴方と一緒に同じ学校で働くために頑張ったんだっ……」
机の上には花瓶に生けられた色鮮やかな花達。
綺麗な花なのに、その姿はぼやけてよく見えない。
そして……。
「貴方の代わりじゃっ……意味ないんだよっ!!……」
目から熱いものが流れ落ちる。
それは頬を伝い、先生の机にポタリポタリと落ちていく。
喉が焼けるように熱い。
目の前が霞んで見辛い。
俺はゆっくりと膝を折るようにその場に座り込んだ。
その連絡は突然だった。
子供を助けるために、自分が犠牲となり車に跳ねられたと。
そしてそれは即死であったと。
俺は耳を疑った。
それと同時に、全てが嘘であれとどれほど望んだことか。
病院へ急いで向かった俺を待っていたのは、息をせず、ベッドの上で横たわる先生の姿。
俺の担任じゃなくなった後も、俺は憧れの先生と、ずっと交流を絶やすことはなかった。
そしてずっと、いつか同じ場所で教師をやることを夢に抱いていた。
先生も、そんな俺の夢に、いつも嬉しそうに“待ってるからな”と言ってくれていた。
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