1・狩り-3

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(うそでしょ?あの早い切込みをかわすなん て・・・) 両者に魔法の効果が届くギリギリの位置に到 着した少女は、驚きながらも回復魔法をいつ でも発動できる準備を終えていた。 奴は続けざまに噛みつく攻撃を繰り出してい る。 体の大きさからは想像できない、素早い動き だった。 アランは最初の一撃以降は手を出すことすら できずに、早くも後退を余儀なくされている ようだ。 剣による反撃も試みているが、ことごとくか わされ牙による攻撃を受けてしまう。 鎧に牙が当たる度に金属音が響き、火花が散 る。 致命傷となる傷を負ってしまうのも時間の問 題と思われた。 ひょっとして凄く強い相手を選んでしまった のかも・・・ 攻撃相手を彼任せにしていたことを少し後悔 しつつも、ソロでは倒せない相手を倒すのが 組んだ目的なんだから、と思い直した。 琴音は奴の動きを止める魔法の呪文を唱えた。 これは相手を20秒間動けなくする魔法だ。 意識はあっても、魔法を受けたその場で体が 固まったようになるから、その間に体力を回 復させて体勢を立て直したり、逃げたりもで きる。 杖の先端を対象に向けて小さく1回転させて 発動させる、少女がソロでの狩りで何度も使 っている手慣れた魔法だった。 (これで時間が稼げれば・・・)
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