1・狩り-3

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そう思った少女は、しかし目を見開き唖然と してしまう。 奴の動きは少しの間も止まることは無く、 更に速度を増していったからだった。 (効かない!今までの相手よりも力が上なん だ・・・) 更に悪いことに、掛けられた魔法のパワーを 吸収して、そのまま奴自身のパワーアップに 使われたようだ。 いきなり魔法を使うことが怖くなってしまっ た。 次の魔法で、更に奴の攻撃速度を上げてしま ったら取り返しがつかない。 (何を使ったらいいの・・・) 焦る気持ちを落ち着かせ、冷静に考える。 体に直接効く魔法が使えないなら・・・間接 的に動けないようにする! 考え終える前に体が動き出していた、がそれ では遅すぎた。 いや、奴のスピードが速すぎるのだ。 男は巧みな剣さばきで、奴に傷を負わせ始め てはいるが、攻撃も加えられていて、徐々に 体力値が減り始めていた。 せっぱ詰まった声でボイスチャットが届く。 「琴音!回復を頼む!」 (回復!そうだ、それを第一に考えないと) 目の前の何もない空間に男の名前が現れ、 体力値が半分ほどに減ったことを知らせる ため、赤字で激しく明滅を始めた。 自分が情けなくなる。杖が動く。 少女は発動までの時間が短く、回復の即効性 のある呪文を唱える。
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