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男の合図で再び少女は歩き出したが、この熱
帯雨林の中を歩くには2人とも不釣り合いな
格好をしていた。
男は、中世の騎士が身に着ける鎧にた防具を
付け、上半身と下半身、さらに手と足も金属
製の装備で固めている。
動きにくそうな印象を受けるが、歩いている
様子を見るとそうでもないらしい。
茶色の髪を肩まで伸ばし、理知的な額と涼し
げな目元が印象的な好青年タイプだ。
常に周囲を警戒しながら歩き、時折後ろを
歩く少女を気遣うように振り返る。
責任感も兼ね備えているようだった。
少女は男の装備と比べると随分軽装に見える。
グレーの厚い布で作られた、バスローブのよ
うな衣装で、一見すれば中世の教会に仕える
僧を思わせる物だったが、肩から足もとまで
体全体を覆っているのではなく、白くスッと
伸びた長い脚を惜しげもなく露出し、衣装と
同じ素材のショートブーツを履いていた。
長い黒髪、白い肌、黒目がちの大きな瞳と形
の良い薄い唇。
美少女の条件をすべて持っているようなルッ
クスに加え、手足が長くスタイルも全体的に
ほっそりとしていてモデルのような体形だっ
た。
2人に交わされる言葉は無く、何かを探して
いるのか周囲に気を付けながら、黙々と歩き
続けていた。
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