1・狩り-1

3/3
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
男の合図で再び少女は歩き出したが、この熱 帯雨林の中を歩くには2人とも不釣り合いな 格好をしていた。 男は、中世の騎士が身に着ける鎧にた防具を 付け、上半身と下半身、さらに手と足も金属 製の装備で固めている。 動きにくそうな印象を受けるが、歩いている 様子を見るとそうでもないらしい。 茶色の髪を肩まで伸ばし、理知的な額と涼し げな目元が印象的な好青年タイプだ。 常に周囲を警戒しながら歩き、時折後ろを 歩く少女を気遣うように振り返る。 責任感も兼ね備えているようだった。 少女は男の装備と比べると随分軽装に見える。 グレーの厚い布で作られた、バスローブのよ うな衣装で、一見すれば中世の教会に仕える 僧を思わせる物だったが、肩から足もとまで 体全体を覆っているのではなく、白くスッと 伸びた長い脚を惜しげもなく露出し、衣装と 同じ素材のショートブーツを履いていた。 長い黒髪、白い肌、黒目がちの大きな瞳と形 の良い薄い唇。 美少女の条件をすべて持っているようなルッ クスに加え、手足が長くスタイルも全体的に ほっそりとしていてモデルのような体形だっ た。 2人に交わされる言葉は無く、何かを探して いるのか周囲に気を付けながら、黙々と歩き 続けていた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!