1・狩り-2

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心臓の鼓動が速くなってきたのを無視して 勇気を出して数歩歩き、アランの横に並ぶよ うにして立った。 綺麗な瞳でしっかりと前を見据えると、風が ストレートの長い黒髪を少しだけ後ろに泳が せる。 そんな琴音をチラと横目に見て頷いたアラン は、右手を開いて腕を体の前にゆっくりと伸 ばした。 次の瞬間、ブンっと微かに空間を震動させる 音がしたと思うと、何もなかった空間に銀色 の輝きを持つ長剣が現れた。 近くからでは直視するのが大変なほどの輝き を放っている。 それは光を受けて反射しているのではなく、 剣そのものが、それを持つ者のエネルギーと 反応し発光しているからだった。 (これが光る剣!しかも、シルバー系!) 驚きと共に、眩しそうに目を細めて剣を見つ める琴音。 噂では聞いたことがあっても、見るのは初め てだった。 剣を扱う技術や戦いの経験値、作戦への貢献 度など、様々な要因により、選ばれた者のみ 持つことを許される剣。 (どちらかと言えば戦士系には見えないタイ プと思っていたけど・・・) 理知的な見た目とは違って、戦闘の経験が豊 富そうなことが分かって、琴音の胸に安心感 が広がっていった。 一歩前に出たアランは、体の前で8の字を描 くように剣を振り回す。 ブンブンと空気を切り裂く音が聞こえる。 そして満足そうな笑みを浮かべると琴音を見 つめ唐突に、「回復魔法宜しく」とだけ言っ た後、行くぞ!と叫びつつ、奴に向かってい きなり走り出した。
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