0人が本棚に入れています
本棚に追加
午後16時頃、
バイトが終わり、
俺は住処であるオンボロアパートへの道を辿っている。
燃えるような夕日の色に、
不釣り合いな冷たい風が頬をなぞる。
電信柱の影が長く延びて、
まるで一枚の絵のような錯覚を感じる。
住宅地にも関わらず、
人気が無い道だ。
不意に足を止める。
約10mほど先に、
見慣れないものが見えた。
「学生?」
思わず声に出した。
近くに寄ってみると、
制服を着た市松人形のような少女が、
段ボール箱に入っている。
高校生に見える少女は、
何故か真っ赤なエレキベースを抱えて、
無表情に前を見つめて動かない。
最初のコメントを投稿しよう!