第1章

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「では、今週のイジメ体験者を決めたいと思います」 四人目が決まった。 四人目はリーダーだった。 「今週は僕が体験する番だ。しかし、先週はやりすぎていたと思う。だから少しイジメを優しくしようと考えた。どうだろう」 誰も反応しない。 イジメはもう始まっているのだ。 今回は前回よりもエスカレートして初日から暴力が始まった。 リーダーの男は日ごとに弱っていき、最終日には別人のようになっていた。 「今日は失神ゲームをやりたいと思いま~す」 「いいね」 「頑張れよ」 リーダーの男はみるみる青ざめていった。 失神ゲーム? ボクはそのゲームを知らないので、今から何が起きるのか少しワクワクした。 リーダーの男に深呼吸を繰り返すことを強要し、胸を強く圧迫した。 ビクビクと体が痙攣し白眼を向いている。 周りの男子生徒はそれを見て爆笑し、女子生徒はキャーキャー騒いでいる。 ボクはその様子を見て高揚した気分になり、混ざりたいなと思いました。 「ごほっ、ごほっ」 リーダーの男は息を吹き返し、その眼は朦朧としている。 「どんな気分だった?」 「気持ちいい?」 周りで騒ぎ立てる声に反応しているようだが、ぼーっとしている。 「おいっ聞けよ」 リーダーの男は何度か怒鳴られようやく気づいたようだった。 「うわーっ」 涙と鼻水と小便を漏らしながら、走って逃げて行った。 翌週になりリセットされた。
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