第1章

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五人目がくじ引きで選ばれる。 ボクは誰が選ばれるのだろうと楽しみにしていたが… ボク?ボクが体験者? 突然地獄に突き落とされた気分だ。 周りを見やると、みんなの目がギラギラと輝いている。 怖い、怖い。あの二人はこんな思いをしてきたのか。 もう分かった、だから誰か助けて。 ボクが心の中でそう叫んでいると ガラガラと教室のドアが開いた。 そこには三人目の体験者と四人目の体験者のリーダーの男が立っていた。 二人とも頬がこけており、目にクマができている。 ゆっくりと教室の中に入り、ボクとクラスメイトを隔てるように分け入った。 この二人なら助けてくれる。ボクはそう考えた。 しかし… リーダーの男は思いもよらないことを言い出した。 「僕らはイジメられる体験はしたが、イジメる側の体験をちゃんとしていない。だから今日はイジメに来たよ」とボクに向かって不適な笑みを浮かべていた。 初日はマットをぐるぐると巻かれサンドバッグにされた。 顔以外をボコボコと。 二日目はパンツ一丁にさせられ授業を受けさせられた。 休み時間になると女子の前でパンツを脱がされ、自慰を強要された。ボクが拒むと彼らはボクの手を掴み無理やりやらせた。女子は手で顔を隠していたが指の間からチラチラと見ている。 その様子をネットに動画中継させられた。 三日目はみんな飽きてきたのかあんまり何もしてこなかった。 四日目、五日目と時は過ぎ最終日の土曜日になった。 あと一日、今日を耐えればボクもあっち側に立てる。 強い気持ちで学校に向かった。 ガラガラと教室のドアを開ける。 目の前にリーダーの男が立っており、ボクは少しあとずさりした。 その時 ビリビリ 体が痺れて気を失った。 「んっ…」 ボクが目を開けるとそこは屋上だった。 足にはロープが巻かれ手も縛られていた。 「な、なに、これ…」 訳がわからない状況にリーダーの男が教えてくれた。 「僕が失神ゲームを受けていたとき、君は笑っていたよね」 覚えていない。笑っていたのかもしれない。 「だから僕も君のことを笑いたくて考えたんだ」 にぃと笑い 「バンジージャンプ」 と嬉しそうに答えた。 バンジーのどこが面白いんだろう? ボクが疑問に思っていると とん、と押される。
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