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身内かわいさ、だけでなく、第三者の私が見ていても、ほめたくなる気持ちが十分にわかる選手だった。
この子は別のチームに入るわけでもなく、野球をやめてしまったらしい。
また足を向ける機会があったら、取材してみたいと思った。
この少年野球チームの取材をしてからずっと頭にあったこと。
それが叔父に脳内サーチされた、というわけだ。
野球チームを作って、―― みんなと一緒に野球をしたい! ―― 叔父は何を勘違いしたのか、私が、――社会人野球チームでも作りたいと思ってる―― とでも考えたのだろうか。
子供の野球クラブなら、こんな大金は必要ないはずだ。
そして、可能性はゼロに近いが、プロを目指すのなら、―― イチから野球のことを学ばなくては! ―― と、考えていたのだ。
「あぁ、そうだったんだ。それじゃ、こんなにはいらないよね?
でも処理しちゃった金だから取っておいてね」
私と叔父の関係は、ほんとに複雑だ。
今は友達に軽い言葉であしらわれたような気がする。
意地を張っても仕方がないので、ありがたく頂戴することにした。
―― 現金で渡すのって、どうなんだろ? ―― と思った瞬間、
「金の重みがわかるだろ?」
と、叔父は言った。
確かに叔父の言った通りだ。
この場はありがたく頂いて、私は、お金をの重みを感じながら叔父の部屋を出た。
鵺森は、コードレスフォンの受話器をとった。
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