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灰色の空の、ずっとずっと高いところで生まれた小さな雨粒が、真っ白な結晶の塊に形を変えてゆらゆらと落ちてくるー。
それはゆっくりと宙を漂うように眼の前まで降りてきて、そっと伸ばした手をすり抜けるように足元に落ちて、音もなく消えていったー。
吐く息の白さも、
真っ白な雪を踏みしめる靴跡も、
何もかもが、目も眩むような真っ白の世界でー。
他に、何もいらないと思っていた。
君が側にいてくれれば。
それだけで、良かったのにー。
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