読書している君が好き

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駅の待合室を見ると、有本が熱心に本を読んでいる。 ページをめくる度に変わる表情がかわいい。 俺は、彼女が本を読んでいる姿が好きだ。 でも、つい、からかい口調で声をかけてしまう。 「有本、さっきから、何読んでんの?」 「光浦君!」 慌てて、本を隠す有本。 焦ったところもかわいい。 「光浦君、さっきからって、ずっと私を見てたの?」 「え?」 ヤバイ!逆に焦る俺。 「ごめん、読んだ。」 有本は、赤面して、その本を俺に見せる。 しかし、俺は、そんな有本より、真っ赤になっていた自信がある。 なぜなら、有本が持っていたのは、俺の手帳。 別名、有本のかわいさを綴る、俺の変態日記。 電車が近付いてきた。 「一緒に帰る?」 不敵に笑う有本。 「俺、忘れ物した!」 耐えられず、慌てて駅から出る。 蝉の声と入道雲。 次の電車は二時間後。
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