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教室の戸を開けると、そこには『ノート』が落ちていた。
拾ってみると、僕の名前が書かれている。
どうやら僕のものらしい。
「こんなノート持ってたかなぁ」
首をかしげながら呟くと、何処かでカタリという音がした。
音のした方へ顔を向けると、一番奥の机の上に『写真立て』がのっていた。
………さっきまでは、なかったはずだ。
「………何なんだ?」
近寄ってみると、それは凧糸がくくり付けてあった。糸の先をたどると、天井のぶら下がった蛍光灯に辿り着く。どうやらここから落ちてきたらしい。糸の端まで辿ると、『タコ型メモ帳』が括られていた。それには付箋が張ってあって、"写真を見よ"と書いてあった。
「写真って、これのことか?」
ひっくり返っていた写真立てを手に取る。そこには写真は入っておらず、ノートの切れ端が飾られていた。
「写真なんてないじゃないか………ん?なんか書いてある?」
"机の中を見よ"
思わずため息が出た。
「なんだ、ヒロのイタズラか」
回りくどいことするなぁと思いながら、写真立てのあったヒロの机を漁る。いつもは置きっぱなしの教科書やらノートやらで一杯なのに、今日は何故か空っぽだった。
ただひとつ、テレビのリモコンがあることを除いては。
「何でこんなもんが………って、また付箋ついてるよ」
今度は何だ。
"電源入れろ"
「電源って、テレビのだよなぁ」
この教室にテレビはひとつ。迷いなくリモコンをテレビに向ける。
「何がしたいんだか」
ため息と一緒に独り言が零れる。
「まぁ、付き合ってやるけどさぁ」
ピッ、という音と共にテレビがぼんやり明るくなってくる。
そして、僕はリモコンをテレビに向けたまま目を見開いた。
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