第1章

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カーテンの隙間から朝日が溢れて、枕元へと届くのが朝6時。布団からはみ出た右手がほんのりと熱をもっている。 階下から塩っぱい匂いがしてきたら朝ごはんだから、その前に仕度を済ませる。 階段を下りると鞄を置いて、ご飯とお味噌汁の蓋を開けると湯気で顔が熱くなる。炊きたてのお米と大根の味噌汁、葉野菜のお浸しを食べ終えれば大凡6時45分。 玄関を開けると側に植えてある向日葵から朝露が滴り、私の頭に落ちてきた。 暑い所と、少し涼しい所を歩きながら、自転車の人とすれ違う。 村の小さな病院の待合室、長椅子の一番奧の席に座り、今日も鞄からノートを取り出す。 「おはようございます」 「今日も良い天気ですね」 待合室に来る村人に挨拶を繰返しながら山本のお婆ちゃんの話や妊婦の笹木さんの話を聞く。 町医者の、竹川さんのお嫁さんの加代子さんに呼ばれるまでの約二時間、それが私のふるさと日記の時間。
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