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Jrは、
「気分が悪い。帰る」
カウンターを回り込んで、スイングドアを揺らしていた。
彼の生まれつきの肌の色が隠していたが、それでも少しだけ顔色が悪いのを高広は見逃さない。
「Hey!」
高広は、クロークに預かっていたディバックをひとつJrに投げる。
「忘れ物だぜ」
「……ん、ああ」
戸惑ったように受け止めたJrだが、そのカバンの持ち手を有坂がふと掴んだ。
「良かったら、中身を確認させていただけないか?」
「なっ!」
カッとJrの頬が興奮で赤くなる。
そこへ高広の冷静な声が飛んだ。
「やるなら外でやってくれ。店の中で揉め事はゴメンだ」
Jrは戸惑ったように高広を見る。
しかし高広は、さっさと行けと手を振った。
そして有坂と桜庭に背中を押されるようにして、Jrは外に出て行った。
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