4 売人

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「信じるも信じねぇもテメェの勝手だけどよ」 何故か高広は泣きそうな顔をしてJrの手の中の球体を見ていた。 「それは人間の感情に反応して色を変える物質だ。俺の話にムカついてりゃ黒くなる。憎めば赤だ」 Jrの手の中の球体は、海の中のように青い。 「嘘発見器の代わりになるかと思ったが、役に立ちやしねぇ」 チッと舌打ちをする高広にJrは言う。 「タカが持ってた時から、これは青かったね」 高広が寄越した直後はもっと青が深かった気がするが、今はスカイブルーと言えるほど澄んできている。 「青の色の意味は?」 Jrの問いに、高広は吐き捨てるように答えた。 「悲しみ」 高広は左手に持っていたJrのカバンを無造作に上空に投げ上げた。 Jrはそれを掴み取ろうと腕をあげる。 目線が上を向いた。 その瞬間、高広は横っ飛びでカウンターを飛び越え、Jrにタックルした。 無防備な胴まわりを両腕で囚われ、Jrはその場に尻もちをつく。 その頬を高広は一発、殴った。 Jrの体格に比べれば、高広は華奢だ。 その打撃は、Jrになんのダメージも与えなかった。 しかし、 「……ばかやろうがっ」 絞り出すように呟いた高広の声が、Jrを殴った。
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