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我が娘の名はミキと言う。
彼女は突然私の前に現れた。
それは、我が妻がいえで殺され独り身となったミキを私が育てることになったからである。第一発見者であるミキは偶然隣の家のおばあさんと遊んでいた為に助かった。
だが、3歳の目に無惨な斬殺の死体はどう見えたかなど想像するだけで心苦しい。
この時私は自分の存在と地位を恨んだ。
妻が斬殺されて二日後私は会議が終わり帰りの馬車の中でその死を知らされた。
「総司令、御家族が斬殺されました。」
「…そうか。」
この時私は何となく知っていたのだ。だが…。
それなのに私の目からは涙が堪えず流れ落ちる。部下の前で、そして、何人もの部下を切り捨てた私が泣くなど許されるはずもないのに私の目からは涙が止まらないのだ。それを察してなのか、私の部下はそれから一度ども後ろを振り返らなかった。
この日私は約一年ぶりに家に帰還した。既に妻は埋葬され家は整備されていた。
この時私は小さなあの子に救われる。
家を一回りし再び0へ戻ろうとした時、隣に住む御老人がヨロヨロと私の前へ現れた。
「総司令様…。」
その老人は自分の家に私を連れていくと毛布にくるまり丸まって寝ている我が娘を私に差し出した。
「…ミキ?」
この時私に希望が見えた。
先ほど部下は私に「御家族が斬殺されました。」と、伝えたが為に娘も…と思ったのだがどうやら御老人の元にいたために助かったそうだ。
この時私がどれ程冷静でなかったか悟る。
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