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教室の戸を開けたら、そこにはジャングルがあった。
いや、ジャングルと言ったら語弊があるかもしれない。
そこは、植物に覆われた教室だった。
苔むした床に、壁中に張り付いた蔦。
しかしそこに生き物の気配はなく、ただただ静寂が満ちる。
それは、突如として世界中で発生した事件だった。
誰もいない部屋の戸を開けると、そこがこの教室のように植物に覆われて、無惨な状態になっていたのだ。
しかも、それは瞬間的な出来事であったらしい。
ある人は、後ろ手に戸を閉めた直後に忘れ物に気づいて戸を開けると、すでにこの状況だったと言い、ある人は、掃除の為に戸を開け閉めしていると、急に植物だらけの光景が目の前にあったと言う。
また、不可解なことに、その場所は全て、人のいない部屋だったそうだ。
この教室も、たまたまその時間に生徒も先生もいなかったそうで、生徒の十八名と男性の担任教師一名は無事だった。
私も、その無事だった生徒の一人だ。
この現象が起こる時間はバラバラで、いつ起こるかも分からない。
ただ、世界中で起きたこの事件で、一人も犠牲になった人はいないから、大丈夫だという認識が私の中では強い。
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