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安全地帯に戻った俺は、すぐに、できるだけリュックを部屋の隅へと置いて、ベッドの下に隠していた冒険の書を手に取る。早く、あの鶏もどきの落としたものと、鶏もどき自身のことが知りたかった。
『アイテム図鑑
食糧編
3 ウルフの肉
ウルフのドロップアイテム
歯が欠けそうなほど固いけど、頑張れっ!
きっと飲み込めるっ!
4 乾パン(金平糖入り)
スケルトンソルジャーのドロップアイテム
甘味増量中!
ふ・と・れ!
5 乾パン(岩塩入り)
スケルトンタンクのドロップアイテム
滅茶苦茶しょっぱい岩塩を使用
目指せっ!
喉の渇きマックス!
6 しょっぱい水
スケルトンタンクのレアドロップアイテム
スケルトンタンクの汗と涙のけっしょゲフンゲフン
大丈夫、やっぱりこれも、健康に問題はない!
9 黒卵
クックドラゴンのドロップアイテム
ふっ、これを手に入れたお前は漢の中の漢だっ!
さぁ喰らうがいい
三日の腹持ちを保証しよう!』
先にアイテム図鑑を開いた俺は、このフロアでのドロップアイテムを眺めながら、それを見つける。相変わらず突っ込みどころ満載で、ふざけているとしか思えない文章だが、収穫はあった。この卵から、あの鶏もどき……クックドラゴンが生まれることはないということだ。しかも……。
「あれが、食料……」
食料不足の現在、味は分からなくとも、食料は貴重だった。じっと、隅に置いたリュックを見つめながら、俺はゴクリと喉を鳴らす。
クックドラゴンとの激闘(?)によって、俺の腹の虫は悲しく鳴いている。一応、『乾パン(岩塩入り)』は残っているし、『濁った水』も一本ある。しかし、それだけだ。それだけしか、今は残っていない。
『乾パン(岩塩入り)』は、十中八九、水が必要となる食べ物だろう。だから、迂闊に手を出せば、水がなくなって苦しむことになる。それに比べ、この『黒卵』には腹持ちすること以外、食べたらどうなるのかの記述がない。試しに食べる価値はあった。
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