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「どう、なって……?」
わけが分からない。この場所のこともそうだが、この格好も、剣らしきものの存在も、何もかもが分からない。
誘拐?
真っ先に出た想像がそれだった。
たしか……学校帰りで…。
高校からの帰り道、俺はレンタルビデオショップに寄り道していた。何か面白そうなビデオ……もとい、DVDがないかと探していて…………。
あれ? 俺、その後どうしたんだ?
頭を必死に回転させて、その後の記憶を掘り起こそうとするが、思い出せない。
……記憶が、ない?
そこから、俺の記憶はプッツリと途絶えている。そんな事実に、俺は心臓が凍りそうだった。
やっぱり……誘拐?
そう考えるのが妥当だ。が、それにしては、何も拘束されてない。第一、もし誘拐だとして、誘拐した人間に変な格好をさせて武器らしきものを与える意味が分からない。
………いや、もしかしたら、頭のおかしい人間に捕まったのかもしれない。
何も情報がなく、犯人の目的も分からない。それは、俺に無限の想像力を与え、恐怖心を植えつけることとなる。
「とに、かく……手がかり、だよな?」
震える声で、俺はどうにか平静を保とうと努めながら、ベッドの隅にある剣と本を見た。
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