チタイクブン

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 ペットを振り落とすことができないままの探索。一応、冒険の書の地図を見ながら、まだ行ったことのない場所へと向かっている。  この十日間で、かなり地図は埋まったのだが、それでもまだ全てではない。ここは案外広いようで、モンスターがいることもあり、数日程度では回れなかった。  が、それも恐らく今日までとなる。冒険の書の地図を見る限り、今から行く方向へ進めば、それ以上に地図の書き込みはなさそうだったからだ。  フルルと震えるペットを肩に乗せながら。俺は左手に冒険の書を、右手に剣を持って、歩く。もちろん、リュックも背負って、モンスターが落とすアイテムはしっかり持ち帰る構えだ。  どことなく淀んだ空気。薄明かりを提供する壁の苔。相変わらずの景色にうんざりしながら、俺は『スライムが現れた』という文字を目にする。 「っ、よ、よし、大丈夫…大丈夫だ」  あの腕を焼かれたときの光景がフラッシュバックするが、それでも俺は努めて落ち着こうとする。  そう、そっと……そぉっと行動すれば、もしかしたら、あるいは、逃げられるかもしれない。いや、もちろん、ドロップアイテムは欲しいが、それで命懸けの戦闘を行うかどうかに関しては全く関係がないと思うのだ。もしかしたら、このまま行けたら、出口が近いかもしれない。  そんな希望が、今の俺にはあるからこそ、ここで命を懸ける必要はないと判断する。そう思って、回れ右をしかけたところで……肩の重みが消えていることに気づいた。  久々に感じる嫌な予感。それは……見事、的中してしまった。
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