国の現状

6/15
前へ
/107ページ
次へ
するとスージは顔面蒼白にしながらブツブツと言い出す。 (5000Gをどうして手に入れようか。あれを使ってここから奪うか。いや駄目だな。それは犯罪だ。そうだ、どこかに5000Gが落ちているはずだ)   床を這いずり、金を探すスージを見てロゼッタは見るに耐えなくなる。 なんて情けないのだろう。 これでマリーゴールドのキっての剣士なのだから余計に目を瞑りたくなる。 「くそぉ~どこかにあるはずだ」 だが、そんな彼を見捨てらる訳もなく。 (仕方ない...) ロゼッタは少し微笑ましい気分なり、おばあちゃんに2万Gを差し出す。 でも、お金が足りないは別の話。 後で問い詰めようと心に決めたロゼッタである。 「はい、おばあちゃんこれ。2万G」 とその声を聞き、顔を上げるスージは少し涙ぐんでいる。 おぉ、ここに天使がいる。救世主が。助かった。 「おぉ、神、ロゼッタ!! ありがとう」 伝票を受け取った彼女は笑顔でこちらへ振り向き「うん、気にしないで」と言ったが、スージはそれを見て体が強張る。 「ひぃぃ。お許しください」 振り向く際の一瞬、ロゼッタが悪魔ような形相をしたように見えたのだ。 だが、それは気のせいではなく。 実際にロゼッタは怒っていたのだ。 だが彼女はそれを表情に出さない。 逆にそれがスージにとって恐怖を生むのは事実である。 スージは思った。 これは間違いなく怒っている... どちらで怒っているのだろうか。 金が足りなかった事? それとも宿代が高かったことか。 それともどちらともか? 考えれば考えるほど嫌な汗が噴き出てくる。 怖い... 「スージ君いくよ?」 笑顔で名前を呼ぶ彼女に余計、恐怖を感じたスージは失礼がないように 「はい!わかりました!」と答え彼女の顔色を伺いながら歩いた。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加