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そんなことより、もう日が昇り朝だ。いつまでもここにはいられない。
「さて、俺もそろそろ準備しないとな」
ベッドから立ち上がり体を伸ばすと、汗に濡れたシャツを脱いだ。
バキバキに割れた腹筋に締まった体は鍛え上げられている証拠で、また体に刻まれているいくつもの傷は歴戦の勝利の勲章と言っても過言ではない。
「スーツならそこに...キャァァァアアアア」
え、なんだ今の悲鳴。え? え?
「どうしたロゼッタ?」
ロゼッタの方を振り向いた瞬間、無言のパンチが俺を襲う。
「ぐはっ」
何故殴られたのか理解出来ぬまま空中で何回転かすると見事ベッドに着地する。
「何するだ! ロゼッタ」
ロゼッタは手で目を覆い俺の上半身を指差してくる。
「スージ君、服 服きてよ」
「ああこれか」
自分の姿を見て、なるほどと頷くとそそくさと服を着た。
「もうなんで女性がいる前なのに平気で服を脱ぐかな~」
「ごめん、ごめん、ちょっといつもの癖で...」
慣れた手つきでネクタイを首にかけ結ぶとギュッと締めた瞬間。
待てよ? と思い手を止め辺りを見渡す。
高い天井と豪華なシャンデリア。
そして足元には赤色の絨毯が敷かれている。
部屋の広さはというと、2人が入れるほどでドアが2つ。
1つはシャワールームともう一つは鏡の隣にある出入り口。
内装はベッド以外は何も置かれていない。
そしてス―ジは顎に手を当て真剣に考える
なんで、部屋がこんなに広いんだ。
俺はシングルで寝泊まりしているはずなんだが。
「スージ君?どうしたの?」
そしてなぜロゼッタが俺の部屋にいる。
「ロゼッタ1つ聞きたい事が……昨日の夜なんだけどさ」
「き き き 昨日の よ よ よよよ 夜?」
ロゼッタの目が泳ぎ、顔はゆでだこのように赤くなった。
この反応は…… 何かあったのは間違えないだろう。
「ロゼッタ、俺昨日の夜の事あんまり覚えてないんだ。何があったか教えてくれないかい?」
正直言ってまったく覚えていない。酒屋で酒を飲み、その後どうやってここに寝てたかすら覚えていないのだ。
「わわわ私は さささっき、スージ君を起こしに来ただけだから知らないよ」
「本当か?」
少し不信感を持った俺は再度ロゼッタを問い詰めた。
「それじゃあ、俺とロゼッタは...な 何もなかったんだな?」
「う....ん...」
頼りない返事をするロゼッタだが、覚えていない俺より確実に信憑性は増すだろう。
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