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「ああ、スキルですかい。そりゃあもちろん。使えますよ。あなたたちも旅の御方ですから当然使えるでしょうに」
「まあ使えます!」
ロゼッタは元気よく答えたが、スキル使いは別にすごい事ではない。
割合的に言えば全体の6割ほどは何かしらのスキルが使えるということになる。
ただこの国では貴重というだけの話だ。
「この国の人って全然スキル保持者いないですよね?」
スージが投げかけた言葉はスルーされる。
もうおばあちゃんは計算に集中していたのだ。
「え~と、人数が4人で1泊のVIPルーム。一泊5000Gで間違いないですね。2万Gです」
500Gではなく5000Gだ‥と。
「ちょっと、待ってくれ! VIPルームって何ですか?」
カウンターのような机に身を乗り出し訴えかけるスージは必死だ。
「え~とVIPルームはですね。高級な部屋です」
いや、それは分かってます。
「VIPの意味を聞いてるんじゃなくて、なんで俺らの宿泊はVIPルームになってるんですか?」
「それは、私はわかりませんねぇ。お客さんが手配したんじゃないんですか?」
「いや...それは」
スージは昨日この宿にどうやってきたかも覚えていないのだ。
当然答える事もできずに、だんまりしてしまう。
しかも、もう泊まってしまっているのだから払わない訳にもいかない。
スージは潔く諦めた。
「分かりました... 払います」
震える手でスーツの胸ポケットから財布を取り出す。
財布を開け中に入っていた札を2枚取り出した。
残念ながら神に祈っても5000Gが増えるわけでもない。
結果は決まっている。1万札が1枚。5000札が1枚。
どうやっても、足りない。
合計しても手持ちの金は1万5000G。
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