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俺は叫んでみたが、やはりクラスメイトは全員無視をきめている。
くっそー、俺が何をしたって言うんだ。
目の前が悔し涙で滲んだ。
俺は職員室に向かった。
「失礼しまーす。」
職員室に入ろうとすると、ちょうど小林先生に出くわした。
「先生・・・。」
俺はつい、男の癖に先生の顔を見ると涙が溢れてきた。
小林先生は、俺を見ると小さな声で呟いた。
「ついてきなさい。」
そう言われ、俺は黙って先生の後をついて行った。
先生は誰も居ない理科室に入って行き、準備室の鍵を開けた。
「入りなさい。」
小林先生に促されて、俺は準備室に入り、椅子に腰掛けるように言われた。
「先生、僕、みんなに無視されているみたいなんです。」
俺がそう切り出すと、先生は黙って俺を見つめた。
「何で、無視されるのか、わからなくて。今日なんて、僕の机に白い花を置く嫌がらせを受けて。」
俺はぎゅっと握った拳の上に涙を落とした。
「僕、イジメを受けているんでしょうか。」
信じられないことだけど、受け入れるしかないのか。
小林先生が重い口を開いた。
「田中君、落ち着いて聞いてほしいんだ。」
小林先生がまっすぐに俺を見た。
そして、少し戸惑った表情で言いよどみ、もう一度俺をまっすぐに見た。
「君はもう、死んでいるんだ。」
俺はショックを受けた。先生までが俺をイジメにかかってきた。
「酷い、先生まで。僕を苛めるんですか?」
先生は首を横に振り、悲しいような苦しいような複雑な表情を浮かべた。
「違うんだ。先生はね、見える性質の人間なんだよ。」
俺は先生の言っている意味が全く理解できなかった。
「君は、夏休みに入る前にある重病で入院した。夏休み中、ずっと入院していて、症状は改善されずに、どんどんと重篤になっていったんだ。」
小林先生が搾り出すように言った。
何を言っているの?先生。
「新学期になっても、君は退院できず、とうとう危篤状態になってしまった。」
意味がわからないよ、先生。
「私は、昨日、君が学校に来ているのに驚いたよ。危篤という知らせを前日に受けていたから。
だけど、自分の性質上、すぐにわかった。田中君の意識だけが学校に来ているのだと。」
嘘でしょう?そんな冗談はやめてくれ。
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