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「みんなはね、君を無視していたんじゃないんだ。君が見えないんだよ。」
さっき死んだって言った。俺をからかうのもいい加減にしてくれ。
「そして、君は・・・。」
そこまで言うと先生は大粒の涙を流しだした。
ひどいよ、先生、そんな芝居をしてまで、俺を苛めたいの?
「昨日の夜半、息を引き取った。」
ふざけるな。そんな話は信じない。
「みんなこの後、君の葬儀に出席する予定なんだ。」
「ひどいな、先生。こんな冗談。酷すぎる。先生まで結託してイジメをするの?教育委員会に訴えてやるからね。」
俺はそんな言葉を弱々しく吐き出した。
小林先生は静かに泣き続けた。
「行かなくては。」
小林先生が席を立つ。
「ねえ、先生、嘘でしょう?イジメだって言ってよ。これ、からかっているんでしょう?はいはい、もう降参。僕が何か悪いことをしたのなら謝るし。反省しています。だから、もうこういうのやめようよ。ちょっとイジメにしては酷すぎない?」
俺を置いてどんどん先に歩いていく先生の後姿を追った。
俺のクラスの教室の前まで行くと、引き戸をガラガラと引いた。
教室からすすり泣きが聞こえる。
教室の皆が目を真っ赤にして泣いていた。
「みなさん、今から田中君の葬儀に参列します。」
おい、葬式ゴッコかよ。マジひでえ。
お前ら、最悪ー。
もうこんな学校、二度と来るかよ。バーカ。
俺はそう言い捨てると、自分の家に帰った。
家に帰ると母さんが、俺の写真を抱えて泣いていた。
父さんも横で号泣している。
なにそれ、クラスだけでなく、父さんや母さんまで俺を苛めるのかよ。
待てよ、どこ行くんだよ。
父さんと母さんを追って、一緒に黒い車に乗る。
え、嘘だろう?みんな、どうしてこんな場所に集まって泣いてんの?
父さんや母さんまで一緒になって。
葬式ゴッコかよ。
ひでえよ。
なあ、これってイジメだよな?
イジメなんだろ?
みんな!
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