第1章

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「みんなはね、君を無視していたんじゃないんだ。君が見えないんだよ。」 さっき死んだって言った。俺をからかうのもいい加減にしてくれ。 「そして、君は・・・。」 そこまで言うと先生は大粒の涙を流しだした。 ひどいよ、先生、そんな芝居をしてまで、俺を苛めたいの? 「昨日の夜半、息を引き取った。」 ふざけるな。そんな話は信じない。 「みんなこの後、君の葬儀に出席する予定なんだ。」 「ひどいな、先生。こんな冗談。酷すぎる。先生まで結託してイジメをするの?教育委員会に訴えてやるからね。」 俺はそんな言葉を弱々しく吐き出した。 小林先生は静かに泣き続けた。 「行かなくては。」 小林先生が席を立つ。 「ねえ、先生、嘘でしょう?イジメだって言ってよ。これ、からかっているんでしょう?はいはい、もう降参。僕が何か悪いことをしたのなら謝るし。反省しています。だから、もうこういうのやめようよ。ちょっとイジメにしては酷すぎない?」 俺を置いてどんどん先に歩いていく先生の後姿を追った。 俺のクラスの教室の前まで行くと、引き戸をガラガラと引いた。 教室からすすり泣きが聞こえる。 教室の皆が目を真っ赤にして泣いていた。 「みなさん、今から田中君の葬儀に参列します。」 おい、葬式ゴッコかよ。マジひでえ。 お前ら、最悪ー。 もうこんな学校、二度と来るかよ。バーカ。 俺はそう言い捨てると、自分の家に帰った。 家に帰ると母さんが、俺の写真を抱えて泣いていた。 父さんも横で号泣している。 なにそれ、クラスだけでなく、父さんや母さんまで俺を苛めるのかよ。 待てよ、どこ行くんだよ。 父さんと母さんを追って、一緒に黒い車に乗る。 え、嘘だろう?みんな、どうしてこんな場所に集まって泣いてんの? 父さんや母さんまで一緒になって。 葬式ゴッコかよ。 ひでえよ。 なあ、これってイジメだよな? イジメなんだろ? みんな!
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