どこまでも続く空を見つめる姿を、見つめてた。

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教室の戸を開けたら、そこに並ぶ机と椅子。メインの古びた黒板には日直の名前が記され、教卓が四角い部屋を見渡している。 朝の日差しが差し込む窓。あいているのか風に煽られるカーテン。 教室の一番後ろの席にいる、女子生徒。 「おはよう」 微笑みかけられてぎこちなく、ぅす。と片手を上げる。すると彼女はわずかに視線をずらし、唇を噛み、白い頬をパッと染めて、窓の外の空を仰ぎ見た。 「天気がいいから……どこか行きたいね」 夏休みが終わったばかりだが、俺も同じく思う。 「……じゃあさ、海はどうかな。近くの岩場。あそこ、カニとかいるよ」 「ほんと?」 「うん、あとは……森林公園。秋の寒くなる前に、いや紅葉も捨てがたい」 「うんっ、行きたいね!」 「湖なんてのも、静かで……いいぜ?」 「……素敵、他には?」 「夏祭りはさすがに終わってるけど……良ければ来年……俺と行かないか?」 「うん!絶対、行きたいっ」 「それで……夜の遊園地で、観覧車に乗る。綺麗だよ」 「本当に……私と行ってくれる?」 「もちろん。ずっと、好きだったから」 俺が見たのは、夢? いや、未来。
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