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「ちょっと、覚悟しておいたほうがいいかもね」
禊屋はそう言って、リビングへの扉のドアノブに手をかけた。冬吾は後腰に差していた銃へと手を伸ばした。いざという時の備えだ。しかし、心の何処かでその必要はないという予感もしていた。
扉が開く。
リビングにはフローリングの上に絨毯が敷かれ、普通のテーブルと、ソファと、テレビなどが置かれてあり、奥にはキッチンが見えた。何の変哲もないリビングだった。……ただ一箇所の異常を除けば。
「……うっすら、そんな気はしてたんだ」
禊屋は静かに言った。
部屋の中央で、女がうつ伏せに倒れている。死んでから時間が経過しているのだろう、ひと目で絶命しているとわかった。その顔は乃神から写真で見せられた、涼城花凛、その人だった。
「依頼は涼城花凛を捜せってことだったけど……ねぇ、キミ。こういう場合は……どうなるんだろうね?」
「そんなこと……俺にわかるわけないだろ?」
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