第1章

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気を失いたくなる程の恐怖だったが、飛鳥と舞も恐らくここにいる筈だ。気を失ってなんかいられない。 由美はギュッと唇を噛みしめると、ろくろ首を睨みつけた。 「キャー‼」 そう言って逃げたのはろくろ首の方だった。 由美が歩き出すと、今度は一つ目小僧が現れ、「ヒッヒッヒッ」と不気味な声を出した。 由美は恐怖で足がガクガク震えた。ここはお化け屋敷ではない。ここにいるのは本物の『お化けたち』なのだ。 泣きたいのを我慢して、 「あっちへ行け~‼」 と叫んだ。 すると一つ目小僧は肩を落として、スゴスゴと去って行った。思っていた程怖くないのかも…と由美は思った。 《早く飛鳥と舞を助けなきゃ》 由美の周りを火の玉がふわりふわりと飛んでいる。怖いけど真っ暗な所を歩くには明かりは必要だ。…仕方ない。怖いけど我慢しよう。
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