調査団

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 我々が調査の場所として派遣されたのは、とある学校だった。  元々は約五百人ほどの生徒が通っていたこの場所は、今は閑散としている。  すでに廃校が決定したこの学校に、我々は調査のため踏み入ることとしたのだ。  一年一組と表記された教室の前まできて、我々は足を止める。  この戸の向こうには、あの植物が広がっているのだ。 「それでは……開けます」  ゴクリと、誰かが唾を呑む音が聞こえた気がした。  何のつっかえもなく開いた戸の先には、やはり、何度か見たものと同じような光景。  苔むした地面と壁を這う蔦。  ここで……いや、ここを、我々は調査しなくてはならない。  十三名の生徒と一名の教師がいなくなったとされる、この教室を……。  我々は、まず、この植物のサンプルを採ることにした。
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