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生命の息遣いが感じられないそこを前に、我々は覚悟を決める。
一歩。
我々は教室へとそれぞれ踏み出す。
しかし、踏み出した瞬間、肌が粟立った。
ココニキテハ、イケナイ。
本能が、そんな叫びをあげる。
これは、我々だけに限ったことではなく、おそらく、世界中のほとんどの人間が試し、同じ現象に襲われている。
外から眺めることには何の問題もない。
しかし、なぜかそこに踏み入ろうとする意思が湧かず、それでも強引に踏み入った者は、畏怖と表現するに適した感情を抱き、それ以上進めない。
だから、調査団には、その中でも比較的動けると周りに勝手に判断された我々が選ばれた。
しかし、我々が少しは動けると言っても、その時間は短い。
早く……速く……サンプルを採らなければっ!
そっと、そっと、蔦の表面に傷を付けようとしたそのとき。
「ひっ」
誰かの怯えた声が聞こえた。
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