扉の先で

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 教室に入ると窓際で外の景色を見ている裕也がいた。 運が良いことに、他の生徒達はどこにも見当たらない。  今しかチャンスはない。  私はなぜか気取られないように気を払いながら裕也に近づいた。 そして、十分に後ろから近づいてから横に回りこんだ。  しかしそこにいたのは裕也ではなかった。 「颯太! なんでここに?!」  私は驚きのあまり声を上げた。 私の知っている颯太はもっと背が低くて幼い顔立ちのはずだった。  しかし今目の前にいる颯太は私と同じくらいの背丈があった。 「お姉ちゃん、明日卒業するんだってね、おめでとう」  少し寂しそうな顔の颯太がそう言って振り返った。 私はどう返事をしたら良いのかわからないまま、ぎこちない頷きをひとつ返した。 「どうしたの? なんか元気ないね」 「ん、まぁいろいろあって……」  振られたとか、まだ未練があるとか、弟にそんな話をするのは恥ずかしくて言葉が濁る。 「で、どうして颯太が学校にいるの?」 「もう、お姉ちゃんが呼んだんでしょ?」  身に覚えが無いため私が困っていると、颯太は悲しそうな顔をして体ごと振り向いた。
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