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蝉の鳴き声が弱々しくなり始めた夏の終わり。
お盆休みが取れなかった代わりに一週間遅れで取った休暇。それを利用して実家に戻ってきていたがそれも明後日までだ。
都会の喧騒から遠く離れた地元は緑豊かを通り越してどこを見ても山。
バスや電車は何時間に一本というど田舎にある木造の小さな駅。
今の時刻は午後14時5分。
通勤通学からずれた昼間の利用は少ない。
駅の入り口に設置された椅子に腰掛け、胸のポケットからタバコを出し無言で火をつける。
陽射しがきつくなってきた。中の方が少しは涼しいだろうか。
移動しようと立ち上がり進みかけた足が止まった。
「……ここ、禁煙ですよ」
声の主は中の椅子に腰掛けた眼鏡の女子高生。
「あ……はい」
いると思っていなかった自分と駅員以外の人物に驚きながら返事を返す。
これが彼女と初めて交わした言葉だった。
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