葵の章

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大学へ向かったはずが、 入る道を選び間違えたかも知れない。 民家の建ち並ぶ、住宅街へ入ってしまった。 通りへ戻ろうか迷いながら歩を進めるうち、 私は立派な木の門と邂逅する。 そしてそこへ、人が歩いて門の奥へと入っていくのが見えて、 私は道を聞こうと後へ続いた。 門をくぐってから気付いたけれど、 どうやらここはお寺みたいだ。 少し進むと本堂のような建物があって、 蔵みたいな建物も見えてくる。 さっきの人は、どこへ行ったんだろう。 完全に姿を見失い、 この寺院の住職さんらしき人の姿も見当たらない。 「―――っ、!!」 思わず、足が止まってしまったのは。
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