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仄暗い空間に、
すとんと落ちるような冷たい声。
その声は、さっき居たはずの寺院で聞いたそれと良く似ていた。
「…看守が牢人に魅入られてどうする。
恥を知れ」
鍵を開ける金属音とともに牢の中に入ってきたのは、
背の高いひとりの男性。
恐怖とパニックの連続で、
その恐ろしく端正な顔立ちを目にしても、
私の胸は少しも踊らなかった。
この人は、私を救いに来てくれたのか否か。
私の頭にはそれしかなかった。
さっきまで私に馬乗りになっていた男は、
この人の登場に即座に床にひれ伏して額を地につけている。
着ている着物の上質さや、
その風格ある立ち振る舞い、
それにこの声は、
もしかして、いや。もしかしなくても。
「……春日の局様…?」
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