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直後に向けられたその鋭い眼光に、
心臓がどきりと跳ね上がる。
「……う、っ」
さっき、そこにいる男にされたのと同じように。
大きな手に私の顎は乱暴に鷲掴みにされ、
ゆっくりと上を向かされる。
「……何故、私の名を知っている?」
まずいことを口にしてしまったと、気付いてももう遅い。
だけどこの状況でどうして言えようか。
さっきまでずっと先の未来にいて、
あなたのお墓の前にいたからだなんて。
綺麗なひとの怒った顔は、迫力が違う。
「答えよ。」
圧迫される気管から、必死に酸素を吸おうとするけど、
やはりすぐに限界が来る。
こんな苦しさの中、まともに喋れるワケないでしょ!!
私は春日局と思われる男の手の甲に、
思い切り爪を喰い込ませ、下に引いた。
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